●演目の内容
8月8日(木) 大仏供養
本年は、天平時代における東大寺大仏の開眼から1250年にあたる節目の年である。それにちなんで、奈良において野外能「大仏供養」を上演する。
この曲は、源平合戦の最中に平家の南都焼き討ちにあって焼亡した東大寺大仏殿は、俊乗房重源の勧進活動によって建久年間に再建されたが、この折のことを題材した四番目ものの能である。
重源の勧進活動を援助したのは、源頼朝と鎌倉幕府であった。そのことにより、上洛した源頼朝の主従一行は奈良に赴き、東大寺において大仏供養を盛大に催したのであるが、この時、壇ノ浦で滅んだ平家の残党である悪七兵衛景清は、頼朝の暗殺をくわだてて供養の場に忍び寄る。しかし浄衣の透間から漏れ出た物具の光を怪しまれて、警固の侍と太刀をもって切り結ぶこととなる。幽玄の能とは大きく異なり、きわめて活劇的性格をもった能である。
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