狂言

狂言

室町時代に発達した喜劇的要素の強い科白劇。多くの場合歌舞を伴う。成立時 から能との関係が密接で、通常能と能の間に上演される。歌舞伎狂言と区別して能狂 言と称されることもある。

狂言公演

8月19日(日)13:30 神戸湊川神社能楽堂
「二人袴」、「棒縛」「六地蔵」 大蔵彌太郎、大蔵基誠、善竹忠重ほか
入場券:\3,000(前売り券¥2,500)

●演目の内容

二人袴:和泉流、大蔵流に存在する。婿入りする男が親に舅の門前まで送ってもらっ たところ、舅方の太郎冠者に見つかって親も招き入れられるが、袴が一着しかないた め親と婿が交互に舅の面前へ出向く。しかし両人一緒にと請われ、袴の前後を裂いて 前に当て後ろを見せないようにごまかしながら参上するが、酒宴の余興に舞を所望さ れて婿・親・舅の三人で舞っているうち露呈してしまい逃げていくという内容。婿の 世間知らずな様子と後半の小舞がみどころ。キリの連舞は囃子で行うのが正式な形だ が、通常は囃子を入れず、大蔵流では《盃》《桑の弓》《雪山》の3曲の小舞謡で演 じられる。明治期にはこの作品を題材にした歌舞伎舞踊が創作されている。

棒縛:次郎冠者と太郎冠者の二人の使用人が留守中に酒を盗み飲みしていることに気 がついた主人が、一計を案じて次郎冠者の両腕を広げたまま棒に縛り、太郎冠者は後 ろ手に縛ってから外出する。二人は気持ちを抑えきれず、苦心の末、次郎冠者が手に 盃を持って太郎冠者に飲ませ、次に太郎冠者が後ろ手に盃を持ち次郎冠者に飲ませる うち、酔いに興じて舞を舞い、主人が帰ってきたのにも気がつかず叱責されるという 内容。縛られながらも苦心して酒を飲む様子と、縛られたままの舞がみどころ。大蔵 流では小舞に「七つ子」「十七八」を用いる。次郎冠者がシテ(主役)を勤めるのは 本曲だけである。

六地蔵:田舎者が地蔵堂を建て、六地蔵を安置しようと都へ仏師を探しに行くことを しったすっぱ(主人公)が仏師になりすまし、一昼夜で六体の地蔵を作って因幡薬師 の仏堂のそばに置くと約束する。翌日すっぱは約束の場所で仲間と一緒に仮面を付け て三体の地蔵になりすまして見せ、残りは脇堂にあると言って先回りして指定の場所 に立っているが、気に入らない田舎者が何度も仏堂と脇堂を往復するのですっぱたち も右往左往するうちに化けの皮がはがれてしまうという内容。右往左往しているうち にだんだん仏の面相が変わっていくのがみどころ。他の2曲と異なり舞は入らず、純 粋な滑稽さで魅せる。

 
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