御 挨 拶
 能・歌舞伎・文楽は日本を代表する古典芸能です。この三者はいずれも音楽と演劇という舞台芸術の二大要素を兼ね備えていることから「楽劇ガクゲキ」と呼ばれますが、これらはその高度な芸術的内容のゆえに世界的に高い評価を得ていることも周知のところです。
関西楽劇フェスティバル協議会では、21世紀を迎えたいま、これら世界的なレベルでの芸術的価値を有する三大楽劇を中心に据えたフェスティバルを開催し、それらの古典的価値を再認識する一方で、それをふまえて新しい現代の芸術文化を創造していくことを目指しています。そして、このような芸術活動にともなって湧き起こるエネルギーを用いて社会を活性化させ、そうした文化的昂揚の中で、関西の復権と日本の再生とを実現していくことが、この運動のより大きな課題でもあります。
このフェスティバルは関西の地を舞台にして行われます。この催しが関西の地で行われるのは、これら三大楽劇の淵源がいずれもこの地にあるからに他なりません。すなわち、能楽は奈良春日神社・興福寺の神事に携わった中世の申楽(大和四座申楽)に始まり、歌舞伎は近世初頭の慶長8(1603)年に、出雲の阿国が京都鴨川河原で女性による舞踊劇を演じたことに起源を有しています。また、文楽は元禄時代に大坂道頓堀において、竹本義太夫、近松門左衛門、竹田出雲の三者によって義太夫人形浄瑠璃を興行として確立したところから出発しています。
わたしどもの試みは、このような関西という土地の利を活かしながら、芸術、芸能をその生成の場に立ち返って、原点から見つめ直していこうとする見地に立っています。
このような問題意識のもとに本年10月6日から同30日までの20日余にわたって、関西各地を舞台に、「上方ルネッサンス2005 楽劇の祭典」を開催する予定でいます。これらの趣旨を御理解いただいたうえで、このフェスティバルにふるって御参集くださいますよう、みなさま方の御来駕を心からお待ち申し上げています。
  2005年8月1日
関西楽劇フェスティバル協議会
会長  山 折 哲 雄
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